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メトセラ惑星って何? 宇宙より古いってホント?

HD 140283 NASA Sauce 豆知識

こんにちは、おっさんです。

以前、メトセラという世界最古の木の話をしましたが、これにちなんで
今回は、ちょっと不思議でロマンのある宇宙の話をします。

私は中学生の頃、夜な夜な自宅の屋根に上っては双眼鏡を使って夜空の星を眺めていました。
「天文ガイド」なんて雑誌も読んで、プロが撮った宇宙の写真の美しさに見ほれたものです。

ということで、今回のテーマは「メトセラ惑星」。HD-140283とも呼ばれています。
聞いたことがない名前かもしれませんが、これ、“宇宙でいちばん古い惑星かもしれない”って言われているんです。

えっ、宇宙より古い惑星? それってありえないよね?
……って思いますよね。
実は、科学者たちもビックリしたような発見だったようなんです。


メトセラ惑星ってどんな星?

「メトセラ(Methuselah)」という名前は、旧約聖書に出てくる史上最長寿の人物からきています。
その人、969歳まで生きたと言われていて、まさに“長生き”の代名詞。

この惑星もまさにそれにふさわしい存在で、なんと132億歳くらいと見積もられています。

ちなみに、私たちの宇宙が始まったのは今から約137億年前のこと。
ってことは、宇宙が誕生してからたった5億年後には、この惑星が生まれていた可能性があるというわけです。

これって、かなり衝撃的な話ですよね。


メトセラはどこにあるの?

この古〜い惑星は、地球からおよそ12,400光年離れた「ヘルクレス座」の中にある球状星団(M4)という場所にあります。

球状星団M4

球状星団M4(仙台天文台)

球状星団っていうのは、銀河のまわりを取り囲む「ハロー」と呼ばれる領域にあって、とても古い星たちが集まっている場所です。

メトセラは、ちょっと変わった連星系の中にあります。
この連星は、中性子星白色矮星という、「死にかけの星」2つからできています。
そのまわりを、この惑星がぐるぐる回っているわけです。

中性子星というのは、超新星爆発を起こした後の残骸で、とてつもなく重くて小さい星。
白色矮星も寿命を迎えた星の“なれの果て”。

そんな2つの“年老いた星”のまわりを回っているということで、この惑星の長寿っぷりにも説得力が出てきますね。


本当に宇宙より古いの?ナゾだらけの年齢問題

さて、このメトセラ惑星(正式名称:HD 140283)がどれくらい古いかという話ですが、2000年ごろ、初めて年齢が推定されたとき、天文学の世界はちょっとしたパニックになりました。

というのも、星の明るさやどんな元素でできているか、そして地球からの距離などを調べてみたら……

なんと「160億歳くらい」という結果が出ちゃったんです。

あれ? 宇宙って、137億年前にビッグバンで始まったんじゃなかったっけ?
もしこの数字が本当だったら……宇宙ができる前からこの星があったことになっちゃう!

それって、どう考えてもおかしいですよね?


何を間違えたんだろう?

ここでいろんな疑問がわいてきます。

  • 観測ミス?

  • 計算方法の問題?

  • そもそも星って、私たちが思ってるような仕組みでできてるんだっけ?

  • もしかして、この星だけ特別な進化をしてきた?

  • それとも……今までの宇宙の常識が全部ひっくり返るような大発見?

――最後のやつはさすがに言い過ぎですけど(笑)、本当にいろんな議論が飛び交ったんです。

実は、この「年齢おかしくない?」問題には、いくつかの原因が重なっていました。
でもそのうちのひとつ、「私たちの宇宙が黒い布に包まれているだけかも」みたいな話は、どうやら違うようです(ちょっとロマンはあるけど)。


実は別の銀河からやってきた星だった!?

メトセラ星が話題を呼んだもう一つの理由は、この星が“生粋の銀河系生まれ”ではなかったという点です。

この星、120億年前に私たちの銀河(天の川銀河)に「小さな銀河が衝突したときに混ざってきた“よそ者”」だったんです。

つまり、もともとは別の銀河にいた星
その銀河は、時速130万キロというとんでもないスピードで移動していて、軌道もかなりイレギュラー。
そのせいで「どこから来たの?」「いつできたの?」という推定がややこしくなっていたんですね。


ハッブル宇宙望遠鏡がナゾに迫る!

この星のミステリーに挑んだのが、あの有名なハッブル宇宙望遠鏡
新たな観測によって、いくつかのヒントが見つかりました。

たとえば、

  • この星は鉄よりも酸素の割合が多い

  • つまり、宇宙初期の物質でできている

  • 距離の再測定によって、年齢の誤差が減った

その結果、「160億歳かも」と言われていた年齢は、誤差±8億年で145億歳くらいまで引き下げられました。

それでも宇宙誕生(137億年前)とほぼ同じタイミング。
これはもう、“宇宙最古クラス”であることに変わりはありません。


星の寿命や進化はまだまだナゾが多い

天文学の世界では、星がどうやって生まれて、どれくらい長く生きるのかということも、まだ完全にはわかっていません。

でも、ひとつだけはっきりしているのは、

この星が、宇宙が始まる前からあったわけではない

ということ。
つまり、年齢の見積もりにはまだズレがあるけれど、宇宙誕生より前には生まれていない、という点ではみんな一致しています。


メトセラが教えてくれる、星の“世代交代”

ビッグバンの直後に生まれた第一世代の星たち(いわゆる“初代スターたち”)は、すごく大きくて、でも寿命は短く、数百万年で消えていきました。

メトセラ星は、それに続く第二世代の星のひとつ。

その年齢が宇宙誕生のすぐあとということは、第一世代と第二世代の星の間には、ほんの数千万年しか空いていなかったということになります。

これはつまり、「宇宙は誕生してすぐ、星をどんどん生み出す力を持っていた」ということ。

この星が見つかったおかげで、私たちは宇宙の“スタートダッシュ”の速さに気づくことができたんですね。


どうしてこんなに早く惑星ができたの?

普通、惑星って「金属や岩などの重い元素」がたくさん必要なんです。
でも宇宙が誕生したばかりのころは、そういう重い物質はあまりなかったはず。

それなのに、このメトセラ惑星は宇宙ができてすぐのタイミングで存在していたかもしれない。
ということは、「意外と早く、惑星はできたのかもしれない」という新たなヒントにもなっています。

つまり、メトセラは、惑星の誕生に関する新しい考え方を与えてくれる存在なんですね。


メトセラが教えてくれる宇宙のロマン

この惑星が語るのは、ただの“年寄り惑星”の話じゃありません。
宇宙に惑星がどうやってできてきたのか、
どれくらい前から地球のような星が存在しうるのか──そういうことを考えるヒントになります。

「宇宙は思ったより早く“星のふるさと”を作り始めたのかもしれない」
そんな想像が、研究者たちの心を動かし続けているんです。


まとめ:宇宙はまだまだナゾだらけ!

  • メトセラ惑星は、およそ132億年前に生まれたとされる超古参の惑星

  • ヘルクレス座にある球状星団M4の中、中性子星と白色矮星の連星を回っている

  • 最初は「宇宙より古い?」と騒がれたが、現在は宇宙初期にできた惑星とされている

  • 惑星の誕生や宇宙初期の環境を考える手がかりになる、とても貴重な存在


「宇宙って、わからないことだらけだなあ」って思いませんか?
こういう発見があるたびに、空を見上げるのがちょっと楽しくなります。

もしかしたら、次に見つかる“宇宙のナゾ”は、もっとすごいかもしれませんね。

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