2025年5月16日、厚生労働省は「働き方や家族構成の変化を見据えた年金制度の機能強化」を目的とした改正法案を第217回通常国会に提出しました。
その後5月30日には衆議院で可決され、現在は参議院で審議中です。
いったいどんな内容なんでしょうか、年金制度気になります。
以下、主要な改正点と社会的な反応、そして影響をまとめました。
1.遺族年金制度の見直し:中年配偶者は「有期5年支給」へ
改正内容
20〜50代で子どものいない配偶者が亡くなった場合、遺族厚生年金は従来の「終身支給」から原則5年間の有期支給に短縮されます。5年後の状況が安定していなければ延長も可能とのことですが。。。。
遺族厚生年金が改正で原則5年間の有期給付に?2025年制度見直しのポイントと影響
大炎上中の「遺族年金」改正案、“改悪”と決めつけるのは誤解なワケ【FPが解説】(ダイヤモンドオンライン)
施行は3年後の2028年4月予定。ただし、指定世代には段階的な移行措置(最長20年)があるらしいです。
社会の反応
批判:「子育て中の寡婦には厳しすぎる」「大学進学費用まで考慮されていない」といった声がSNSやメディアで多数上がっています。
評価する声:「有期給付加算や収入要件の撤廃など、受け取りやすく改善された点もある」との意見もあり、中にメリットもあるとする見方も。
まあ、女性だけでなく男性にも支給されるようになった点や、死亡した配偶者の遺族厚生年金の3/4しかもらえなかったのが、1/4が加算されて100%支給になった点はプラス材料ですが。
現在審議中の年金改革法案では、遺族年金制度に大幅な見直しが行われ、『専業主婦前提』から『共働き前提』へと大きく方向転換されます。
詳しくは、動画をご覧ください。
「【超爆速】2028年から遺族年金は5年で打切り、新ルール解説!専業主婦は地獄。2000万円減額!?中高齢寡婦加算も廃止… pic.twitter.com/iW65FMT7GG
— 山田真哉@オタク会計士・YouTube110万人 (@kaikeishi1) June 2, 2025
2.在職老齢年金カット基準の引き上げ:賛否分かれる評価
改正内容
現在、65歳以上の「働きながら年金を受け取る場合」は、給与+年金の合計が51万円超えると減額されますが、これを62万円に引き上げ(2026年4月施行予定)。
2025年4月から年金支給停止の早見表!働きながら年金受給で年金カットの基準が変更!【在職老齢年金/年金改正】https://t.co/OqxAEtv08k
— 橋本 陽子 (@e84fb5a1787548c) February 27, 2025
社会の反応
評価側:「高齢者が働きやすくなる」「企業の人手不足対策に寄与」と歓迎の声。定年後に比較的高収入で働く人は、年金カットが少なくなるのでうれしいでしょう。
人口減による若い人たちの働き手不足に対して高齢者が活躍する場ができるならいい事だと思います。
批判側:「まだ働かなければならない社会構造なのか」「老後にゆっくりできる時間も奪われる」との懸念も根強い。
こちらも含めて「高齢者もまだまだ働いてね」という政府の方針がよくわかりますね。
ちなみに自営業収入や個人事業の収入は年金カットの対象外です。
3.厚生年金積立金から基礎年金への流用:不安と議論の火種
議論の展開
一時、「厚生年金の積立金を用いて基礎年金を底上げする案」が浮上しましたが、歴史的な不公平性や、これまで積み上げてきた加入者の「資産取り崩し」との批判が自民党内やネットでも多数あり、一度は削除されました。
衆議院で自民・公明・立憲民主の3党などの賛成多数で年金制度改革法案が可決
会社員公務員などが給料から天引きされている厚生年金積立金が盗み取られ、基礎年金の底上げに使われる。厚生年金加入者の財産権の侵害にならないか?
厚生年金の積立金を基礎年金の底上げに使わず、掛け金を見直すのが筋 pic.twitter.com/Am7brV2sSJ— KOJI HIRAI 平井宏治 (@KojiHirai6) June 11, 2025
その後、立憲民主党との修正協議で「2029年財政検証後に必要なら検討」という条項が加わりました。
社会の反応
強い批判:「払った保険料が他に回されるのでは」「制度に信頼が置けなくなる」との不満が大多数。
一部では、「非厚生年金層にも公平な支援を」と必要性を指摘する声もあります。
自分たちが払った分を積み立てるというスキームではなく、いま働いている人が払った分と、過去の運用益が高齢者の年金として支払われるというしくみなので、わかりづらいっちゃわかりづらいんですがね。
4.標準報酬月額の上限引き上げ:高所得層の負担強化を狙う
改正内容
保険料・年金額算定に使用する「標準報酬月額」上限を段階的に引き上げ、65万円→68万円→71万円→75万円に変更されます。
影響と評価
意義:高所得者に応じた負担を求め、年金財政の安定化につながる再配分策として期待されます。
年収200万円以下を低所得層、1500万円以上を高所得層とした場合に、その中間の層だけ減税するのは仕組み上難しいということです。社会保険料の減額なら低所得層含めて労働者の手取りは増やせますが。
但し、平均年収も増えていってるので標準報酬月額の引き上げはインフレなら当然とも言えますが。 pic.twitter.com/8AuRcoQhkL— Tomy😃 (@TMT69J) June 9, 2025
懸念:「企業や個人の保険料負担増につながる」「高所得者の手取りが減るだけでなく、将来の受給額が増えるかは不透明」との声も。
加入対象者拡大で200万人の負担増、さらに標準報酬月額上限引き上げでサラリーマンの負担増、厚生年金積立金の流用(53兆)してもなお国庫負担53兆円が増えると試算されてるんだが…。年金詐欺だな。 pic.twitter.com/1nQ7YXF3IW
— ひでお (@hideyonku) June 6, 2025
逃げ口として「給与を役員報酬に切り替える動きが活発化する」との予測もあります。
🔎 全体まとめ
今回の年金制度改革は、「多様化する社会に対応した公平性の強化」「財政の持続性」を目的として構成されていますが、その中には生活者にとっての負担増や制度の信頼を揺るがす懸念も含まれています。
今後は参議院での議論が続き、参院選後の政治状況にも影響されながら、最終版として成立する見込みです。私たちが暮らしや将来設計に与える影響をしっかり見極め、必要に応じた備えやライフプランの見直しも進めていく時期です。
遺族厚生年金制度の見直しは、子供のいる働く親家庭という一番忙しくなる人たちに対して優しくない気がしますが、次回はその点についてもう少し深堀りしてみましょう。
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