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「遺族厚生年金・有期給付(5年)」、働く親家庭にとっての課題とは?

「遺族厚生年金・有期給付(5年)」、働く親家庭にとっての課題 お金の話

遺族厚生年金制度の見直しは、子供のいる働く親家庭という一番忙しくなる人たちに対して優しくない気がします。

今回はその点についてもうちょっと深堀りしてみましょう。

今回の年金制度改正で導入される「遺族厚生年金の中高年配偶者への有期給付(5年)」については、子どもがいる働く親家庭にとって特に厳しい面があると多くの専門家や市民から懸念が上がっています。

以下、その理由を具体的に説明します。

ちなみに、すでに遺族年金をもらっている人や60歳以上の人、18歳未満の子供がいる家庭、29歳以下の女性は影響がありません。
また遺族が男性の場合や、高収入の女性、2025年で52歳以下の男性は今回の改正によって有利になります。

不利になるのは30歳から59歳の女性。

これまで遺族厚生年金は専業主婦の女性だけが終身でもらえる制度でした。共働きで収入の多い女性はもらえなかったわけです。

これを男女の別関係なく、共働きでも遺族厚生年金がもらえます、収入が多くてももらえます、その代わり終身ではなく5年間限定ですよ、という制度に変えようとしているわけですね。

 

1.子育てと仕事の両立が必要な時期に、支援が打ち切られるリスク

中高年で子どもがまだ学生の場合、配偶者を失うことで家庭は一気に「ワンオペ育児+家計管理+仕事」という過重な負担を抱えることになります。

例えば40代〜50代で配偶者が亡くなり、子どもが高校〜大学に進学する時期にある家庭だった場合、教育費が最もかかる時期と重なるにもかかわらず、遺族厚生年金が5年で打ち切られる可能性があるわけです。

一般的な大学4年間の学費・生活費合計は、国立大進学で自宅通いだと仮定して最低でも年間100万円以上
県外の私立大学なんて行ったら年間300万円はかたいです。

年金の支えがなくなれば、借金奨学金頼みになる家庭も出てくるでしょう。

 

2.「生活再建期間5年」で仕事と家庭が安定するとは限らない

政府は「5年間で再就職などによって生活再建できる」と想定していますが、ちょっと強引すぎないか?とも思います。
以下のような現実的な課題があるからです。

ブランクがある人が5年以内に安定的な職を得るのは難しい
特に40代以降の女性は非正規雇用が多く、年収も不安定なケースが多いです。

心身のケアが必要な場合や、子の精神的ショックのケアなども重なるため、フルタイムで働けないということも珍しくありません。

こういう事、政府は考えてくれてるんでしょうかね。

 

3.遺族基礎年金が受け取れないケースもある

遺族基礎年金は「子どもが18歳の3月末まで」支給される制度です。

たとえば子が高校卒業後に進学する際(19歳〜22歳)だった場合は、一番教育費がかかるにもかかわらず、公的年金の支援がなくなる時期と重なってしうことになります。

 

4.制度の意図と現実のギャップ

今回の制度見直しの目的には、「中高年配偶者への長期支給の公平性を見直す」「制度の持続可能性を高める」などがあり、一定の合理性はあるとされます。

しかし一方で、

一番お金も時間もかかる時期の遺族支援が削られる」ことへの納得感は乏しく、

本来は支援が厚くあるべき「働きながら子育てをしている未亡人・未亡人世帯」が不利になる構造は、逆に少子化や家庭崩壊を加速させかねないとも言われています。

 

📝 まとめ

「中高年で子どもを育てながら働く親」は、精神的にも経済的にも大変な時期です。
そのような家庭に「5年間で生活を立て直せ」と言うのは酷ではないか、というのが多くの人の感じている違和感の根源です。

政府は移行措置例外規定を設けるとしていますが、その具体例は見えてきません。
本当に支援が必要な家庭へのケアが実効性のある形で届くのか、今後の制度運用と補完措置が重要な焦点となります。

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