厚生年金積立金から基礎年金への流用についてもかなり炎上しています。
厚生年金積み立てたサラリーマンの人数に対して、これまで積み立ててこなかった個人事業主や自営業者などを含めた大人数にも流用するというのは、これまで積み立ててきたサラリーマンたちの納得を得られないと思うのですが、その点について深堀りしてみましょう。
✅ 結論:「運用益を回す」は正しいが、背景と意味を知ることが重要
厚生年金の積立金を管理するGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)は、過去数年で実質約3~4 %の好調な運用益を記録しています。
その中で、年金制度改革案として「2029年の財政検証で基礎年金の水準低下が見込まれれば、厚生年金の運用益を国民年金(基礎年金)に回す」との条項が盛り込まれており、この点について「大丈夫か?」という疑問が広がっています。
💹 なぜ厚生年金の運用益を使おうという話が出ているのか?
1. 公的年金システムの2階建構造
- 「国民年金」はすべての国民が加入する“1階部分”。
- 「厚生年金」は会社員や公務員が加入する“2階部分”。
これまで両者の積立金は分けて運用されており、厚生年金の積立金の規模は2021年度末で約245兆円、一方で国民年金は約13兆円と、大きな差があります。
2. 背景にある「少子高齢化」と「賦課方式」
日本の年金制度は主に賦課方式(現役世代が支払い、即支出に回る)のため、少子高齢化が進む中で「将来の支え手」が少なくなるという深刻な課題に直面しています。
そこでGPIFは、積立方式の一翼を担う「運用益」を活用することで、今後の年金制度の持続性を高めようとしています。
🔍 なぜ国民年金は運用してこなかったの?
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厚生年金は現役世代の「保険料+企業負担」を受け取り、積極的に運用して基金を積み上げてきました。
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一方、国民年金は規模が小さく、すべての国民が均一に加入する仕組みで、積立金そのものが少なかったため、GPIFの対象外とされてきたんですね。
この違いから、「運用益が出ている厚生年金を使って、運用をしてこなかった国民年金を補填する」という事になったわけです。
🔥 なぜ物議をかもしているのか?
サラリーマンの不満が集中する理由
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「払ってきた厚生年金の貯金が、やっと回ってくると思ったら、別の人に回されるのか?」
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「今まで負担してきたのは自分たちなのに、それを他の層のために使われるのは不公平では?」
といった感情的な反発が多く見られます。
専門家の意見
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ニッセイ基礎研などは、制度の持続性には有効との見解を示す一方で、「説明責任が伴わなければ納得は得られない」と強調しています。
🗣️ 正しい理解が不可欠
観点 | 要点 |
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事実 | GPIFは好調な運用益を上げており、制度改革として活用の法的条項が加わったのは事実 |
理由 | 少子高齢化で基礎年金の財源不足が懸念されており、厚生年金の積立金が救済財源として検討されている |
批判 | 厚生年金加入者からは、「積み上げた貯金が他人に」「説明不足で納得できない」との不満多数 |
専門家の立場 | 制度の維持には一定のメリットがあるが、透明な説明と支援策なしでは合意形成は難しい |
✅ まとめ:今後の焦点は「説明と補填策」
- 「運用益活用」は確かに議論の中に位置していますが、それは制度持続のための1つです。
- しかし厚生年金加入者の理解と納得を得るには、影響試算の公開・丁寧な説明・上乗せ支援などの補完策が不可欠です。
今後、具体的にどれだけ回すのか、どれほど厚生加入者が影響を受けるのかなど、「数字と方針」が示されることを期待します。
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